「も、もしも…」
「あ、隼人く~ん!放火だなんて災難だったわねぇ!!」
この前みたいなパワフルな声が俺の耳に届く。
俺はなんとなく2人に会話を聞かれたくなくてクルッと後ろを向いた。
「はい、修学旅行も途中で帰ってきました」
それは俺にとっても心残りだ。
みんなは今も沖縄にいるだろう。
俺も最後までいたかった。
「あら、それは残念ねぇ。じゃあ今度真子を誘って行けばいいわっ!」
そんなことを真子先輩のお母さんに言われてびっくりする。
すると先輩のお母さんはフフフと笑って、
「あたしは隼人くんを応援してるわよ。一緒に住んでる間がチャンスよ!頑張って!」
そう言われてえっ、と思う。
「い、一緒に住ませてもらっていいんですか?」
「えぇ、さっき賢一くんにも言ったけど、あの子あの家で一人ぼっちでしょ?だからあたしもあなた達が少しでも一緒にいてくれるのは嬉しいのよ」
先輩のお母さんはそう言った。
確かに、少し嬉しそうだ。
「ありがとうございます、お母さん」
本当に真子先輩の家族は優しい。
感謝をしながらそう言うと…
「キャーーーーーー!!!!隼人くんにお母さんって言われちゃった!!嬉しいっ!!ねぇ、もう1回呼んで呼んで!!」
いつもの真子先輩のお母さんのテンションに戻った。
それから俺は『お母さん』と何回呼ばされただろう。
最後に真子先輩に変わって少し話をして電話は切られた。

