「お、お前いつ真子ちゃんのお母さんに会ったんだよ!」



コソッと兄貴が耳元で言う。



「前偶然会ったんだよ!そんときご飯とかごちそうになったの!」



そんなことを言い合っていたら、



「あ、お母さん?寝てた?大丈夫?」



真子先輩が少し楽しそうな声を出す。

どうやらお母さんが電話に出たらしい。

そして先輩は俺たちが放火にあったこと、家で一緒に住んでいいかとか聞いていた。

っていうか、ダメに決まってるだろ!!

年頃の娘の家に男を2人も住ませるなんて!!

そんなことを思っていたら、真子先輩が携帯を兄貴に渡してきた。



「賢一さんと話したいって」



先輩がそう言ったとたん、兄貴の背筋がピンとなった。

カナリ緊張してるみたいだ。

真子先輩から電話を受取り、耳に当てる。



「は、初めまして。松永賢一と申します」



初めて聞くような兄貴のうわずった声に俺も先輩も笑った。



「はい、はい。…え?ホントですか?」



兄貴がびっくりしているような声を出す。



「あ、はい。ありがとうございます。はい、隼人ですね」



いきなり俺の名前を出したと思ったら兄貴が電話を俺に渡してきた。



「真子ちゃんのお母さんがお前に変わってくれって」



そう言ってにやっと笑った。

え?と思って俺は慌てて電話を受け取る。