「お前のマンション、今朝火事になった」



そう言われて俺の顔はサーッと青くなる。

だって、兄貴は?兄貴は家にいるんだぞ?

俺は立っていられなくて健太に寄り掛かる。



「隼人!大丈夫か!?先生!隼人の兄ちゃんは!?」



俺の代わりに健太が聞いてくれた。

でも…もし無事じゃなかったら?…俺、一人に…

最悪の事態が頭の中を駆け巡る。



「大丈夫だ。お前の兄貴は無事だ。怪我人は何人か出たみたいだが、マンションのみんな無事だ。大丈夫」



樋口のその言葉にホッと息を吐く。

ホテルに戻って荷物をカバンに詰める。

その時、置いてあった携帯を見るとメールが何件か入っている。

兄貴から火事があったことと無事だというメール。

あと、真子先輩からもおんなじようなメールが入っていた。

そして俺は樋口と2人で飛行機に乗る。

その中でとんでもないことを聞いた。



「…実はその火事、放火らしいんだ」



「え?」



「そして犯人は…栗原花梨だ」