隼人くんからの着信だった。
思わずグランドにいる隼人くんを見ると、携帯を耳に当てながらこっちを見ている。
あたしは通話ボタンを押した。
「…も、もしもし」
「へへっ!先輩お見送りありがと~」
携帯からそんな声が聞こえる。
「ううん、修学旅行楽しんできてね!」
ベランダの柵に手を置いてあたしは隼人くんを見る。
「ん、行ってくるね!お土産楽しみにしておいてね!」
そう言ってあたしに手を振る。
「うん、ありがと。楽しみに…」
「「コラー!松永!携帯はしまえ!!」げ、樋口に見つかった!」
そんな声とともに、グランドでは隼人くんの担任の樋口先生が隼人くんを指さしている光景が見える。
「ごめん!先輩!じゃあね!」
「うん、行ってらっしゃい」
そう言って携帯から耳を離そうとしたとき、
「あ、待って!」
そう聞こえたからあたしままた携帯に耳を付けた。
「いつか、俺と先輩と2人で行こうね!沖縄!」
そう言って隼人くんは携帯を切った。
バスに乗って行く隼人くんを見ながら、あたしは赤くなった頬を両手で隠した。
不意打ちにそう言うのは…ずるい。
でも…
「…行きたいな。いつか」
そう思った。

