それから何回か真子先輩を見かけた。

いつも笑っている彼女を、気づけば俺は見つめていた。

そして4月の半ば、俺は昼休み忘れ物を取りに家に帰ってる途中。

目の前を歩いていた星城の制服を着た女の人がいきなり倒れた。



「だ、大丈夫ですか!?」



俺は急いで駆け寄った。

顔を見たとき、驚いた。



「っっ!!」



だって…真子先輩だったから。

とりあえず俺は先輩を連れて家に帰った。

男の家に入れるのはまずいかと思ったけど、先輩の家も分からないししょうがなかった。

熱があるみたいだったから、自分のベッドに寝かせて濡らしたタオルを額に乗せた。

スースーと寝息を立てて眠っている先輩。

俺はベッドの隣からしばらく先輩を見つめていた。

あの時はしっかり見てなかったけど、今間近で見ると本当に可愛い。

思わず俺の頬がポッと赤くなった。

俺は勢いよく立ち上がった。これ以上先輩を見てたら自分が耐えられないと思った。

キッチンに行き、おかゆを作ることにした。

ついでに風邪薬も飲んでもらわないと。

おかゆと薬とペットボトルの水を持って自分の部屋に戻る。

そして部屋のドアを開けると、



「あ、起きた?」



真子先輩はビックリしたような顔をして俺を見ている。



「あ、あの…」



「あ、心配しないで!僕、松永 隼人(マツナガ ハヤト)!星城高校の1年!ここ僕の家だから!」



なんとなく、俺って言えなかった。

どうしてだろう。

でも俺がそう言うと、



「あ、えっと…七海真子、2年です」



少し緊張気味に言った。

その姿がなんだか可愛らしくて、愛しくて、俺は笑った。