「…先輩のココ、痕付いてる」



隼人くんはそう言って首筋を指さした。

そう言われてあたしはハッとした。

そいえばあの時、金髪の人にキスマークつけられたんだった。

あたしはとっさに自分の手で首筋を隠した。

なんとなく、隼人くんにはこんなの見られたくなかったから。

すると、隼人くんはそんなあたしの手を取って、あたしの首に自分の顔を近づけた。



チュッ



首元でそんな音が聞こえたと思ったら隼人くんが顔を上げる。

そして、



「へへっ、消毒」



照れたように笑う隼人くんを見て、あたしの顔は真っ赤になった。

でも急に隼人くんの顔が曇った。



「…俺、先輩に嫌いって言われて…結構傷ついた」



しょんぼりとそんな顔をする隼人くん。

そうだ、あたしは隼人くんにひどいことを言った。

嫌いとかもう構わないでって。



「…ごめんね」



ホントはそんなこと全然思ってない。

むしろ、あたしは隼人くんのこと…

そう思った時、ふと疑問が浮かんだ。



「そういえば隼人くん…なんであたしが空手やってたの知ってたの?」



あたしがそう言うと、隼人くんニコッと笑って話し始めた。