「ありがと…」



家まであたしを送ってくれた隼人くんにお礼を言う。



「ううん、先輩が無事で本当によかった」



そう言ってあたしの頭を撫でる。

一応隼人くんの方が年下なんだけどな。



「じゃあ今日はゆっくり休んでね」



隼人くんは帰ろうとする。

でもあたしは隼人くんの腕を掴んで止めた。

不思議そうな顔をしてあたしを見た。



「…もう少し、一緒にいて?」



さっきまであんなことがあって、まだちょっと怖い。

一人だと心細い。

すると隼人くんは少し照れたように頬を掻いて、



「うん、いいよ」



そう言ってくれた。

リビングに通して2人でソファに座る。

隼人くんとこうやって2人でいるのは1か月以上ぶりだ。



「お、お茶入れてくるね」



なんだか緊張したからあたしはそう言って席を立とうとした。

でも…



「…いい」



そう言ってあたしの腕を掴んだ。

そしてあたしを再びソファに座らせ視線を合わせた。



「頬、叩かれた?」



隼人くんはあたしの頬をそっと触る。

そう言えば一回叩かれたかも。

今思うと少しジンジンする。



「うん」



そう言うと隼人くんはあたしの手首をそっと掴む。



「こっちも…痛かったよね」



あたしの手首の縛られた跡を見て言う。

縛られたところが内出血している。

そして隼人くんの目線があるところで止まる。