「離してっ!!」



どこかで聞き覚えのある声がした。

声のした方を振り向くと、



「…栗原」



そこには、栗原が怖そうな黒スーツを着た男の人達に両手を掴まれていた。



「…よくも真子にひどいことしたわね…栗山花梨」



さっきまで泣いていた久保山先輩がものすごい剣幕で栗原を睨んでいる。



「あ、あたしは何にもしてない!証拠なんてないし!!」



そう言って栗原が足をバタつかせるけど、黒スーツの人たちはびくともしない。

久保山先輩が立ち上がって栗原のもとに向かう。



「…秋?」



真子先輩が心配そうに久保山先輩の名前を呼ぶ。



「証拠ならあるわ!ほら」



そう言って久保山先輩は栗原に写真を何枚か見せた。

俺もそれを見る。

そこには、今そこで倒れてる男たちに現金を渡してる写真。

これはどこからどう見ても栗原だ。



「し、知らない!こんなの知らないし!」



まだ知らないふりをする栗原。

久保山先輩はニヤッと笑う。



「写真意外に動画も撮ったわ。これを警察に持ってけば、あんたどうなるのかな」



そう言う久保山先輩は本当に恐ろしい顔をしている。

すると、栗原は体を震わせる。そして震えた唇を開いた。