真子先輩が空手をやめた理由を聞いて、絶対先輩のせいじゃないと思った。

でもきっと先輩は優しい人だから、心の中で自分が許せなかったんだろう。

俺は先輩を自分の方に向かせた。



「先輩が手出せないなら、俺がずっと先輩を守るから」



先輩と視線を合わせてそう言うと、先輩の目から涙がこぼれた。



「…ありがと」



小さく先輩が言った。

その時、



「真子っ!!!!」



そう言って走ってきたのは久保山先輩だった。

すごい勢いで真子先輩を抱きしめた。



「あ、秋!?」



真子先輩はいきなりのことにびっくりしてるみたいだった。



「良かった!良かったぁ!!」



そう言っている久保山先輩は泣いてるようだった。

少したって俺の方を向く。

ほら、やっぱり泣いてた。



「松永君、ありがと。真子を助けてくれて」



そう言われたけど、俺はここに駆け付けただけ。



「そんなことないです。久保山先輩が教えてくれなきゃこんなことになってるなんて知らなかったですから」



俺がそう言った時、