「うおっ!かっわい~!ラッキー♪こっち連れてこうぜ!」
もう一人、同じ制服の人が後ろから走ってきてそう言う。
その人は髪は黒いけど、ピアスをこれでもかってほどつけている。
「や、やめ…うぐっ!」
声を出そうとしたら、金髪の人に口を手で塞がれた。
「…黙ってたほうがいいぜ。痛い目に合いたくなきゃね」
耳元でぞっとするような声が聞こえた。
そして後ろから羽交い絞めにされる。
その時…あたしは考えるより先に体が動いた。
フッとしゃがんで相手から解放される。
そのまま自分の足で金髪の人のバランスを崩し、すぐ後ろを向き相手の右手を掴んだ。
「痛っ!」
そしてそのまま背負い投げをしようとした瞬間…
『絶対許さないんだから!!!』
そんな声が頭の中で聞こえた。
あたしはピタッと動きを止めた。
それを見計らって、金髪の人がまたあたしの腕を掴む。
「痛ってぇなぁ!おい、なんか縛るものねぇか!」
すごい剣幕でピアスの人に言う。
「ネクタイでいいか?」
そう言ってピアスの人は自分のつけていたネクタイを外して金髪に渡す。
「痛っ!」
あたしは後ろで両手をネクタイで縛られた。
カナリ強く。絶対解けないほどに。
そしてひと気のない路地裏に連れてこられた。
無理やり座らされて、前から金髪の人があたしの肩を掴む。

