教室には戻れなかった。

だって、涙が次々と溢れてくる。

あたしは女子トイレに駆け込んだ。

でも、



「真子?」



そこには秋がいた。

なんで?今授業中なのに…



「…あ、き」



「ちょっとどうしたの!?真子?」



しゃがみ込んだあたしに駆け寄ってくる。

涙が止まらない。どうしてこんなに涙が出るの?

あたしは秋と一緒に学校を出た。

聞けば、昨日の階段から落ちたとき、コンタクトをなくしたらしく、

眼科に行ってから来たそうだ。メールが来ていたけど、全然見てなかった。

そしてそのままあたしを家まで送ってくれた。



「…で?何があったのよ?」



あたしの家のリビングのソファに2人で座ると、秋が聞いてきた。

まぁ、聞かれるとは思ったけど…

でもなんて言ったらいいか、わからない。

黙っていると、秋はため息をついて口を開いた。



「ま、きっと松永くん関係のことだとは思うけど」



そう言われてやっと止まった涙がまた出てきた。

あたしは泣きながら、今日あったことを全部秋に話した。

秋はずっとあたしの背をさすりながら聞いてくれた。



「…ごめんね、秋。秋の怪我ももとはと言えばあたしのせい」



そう言うと秋はあたしの頭をパチンと叩いた。



「これはあんたのせいじゃないよ。栗原花梨のせい」



そう言って立ち上がった。



「あたしの真子を傷つけるなんて許さない。ふふふ、今に見てなさい」



何やらニヤリと笑った秋の顔が怖かった。



「ちょ、変なことしないでよ!」



一応注意をすると秋は分かった分かったと言って帰って行った。