「君たち!何やってるんだ!!」
このクラスの担任だろう。騒ぎを聞きつけてやってきた。
あたしは栗原さんを一度睨むと栗原さんの上から退いた。
「君!名前は?何年何組だ?」
そう聞いてくる先生を無視して教室を出る。
「待ちなさい!君!」
その時、
「先輩!…わかってますよね?」
栗原さんがあたしの方を見て笑いながらそう言う。
こんな人に負けたくない。
でも多分あの人は隼人くんのこととなったらなんでもする人。
そう思うと怖い。また人が傷つけられるのが怖い。
秋のように、今度は啓太まで…
知らず知らずのうちに人が少ない校舎まで来た。
体が震えてくる。手先が冷たい。
あたしは耐え切れなくなって座り込んだ。
しばらく経った時、
「真子先輩?」
優しくあたしを呼ぶ声が聞こえた。
ゆっくりと顔を上げる。
そこにはやっぱり…
「…隼人…くん」
隼人くんがいた。
心配そうにあたしを見る。
でも今はタイミング悪いよ…
隼人くんの顔を見ていたら涙が出てきた。
「ちょっ!先輩!どうしたの!?」
いきなり泣いたあたしに焦ってる。
「ご、ごめん、なんでもないから」
あたしはそう言って自分の教室に戻ろうとした。
でも、隼人くんがあたしの腕を掴んだ。

