「なんで目逸らすの?」



少し悲しそうな顔をしてあたしの目を見る。

だ、だって…



「は、恥ずかしいんだもん…」



キュッと目をつぶってそう言った。



「恥ずかしい?」



隼人くんが不思議そうに首を傾げる。



「あ、あたし告白されたの初めてだったし…どうしていいかわかんないの」



そう言ってうっすらと目を開けると隼人くんはびっくりしたように目を見開いていた。



「え?僕が初めて?」



そう聞くから、小さく頷いた。

すると隼人くんはあたしの顔から手を離してなぜかはぁとため息をついた。

その行動にあたしも首を傾げた。



「よかったー僕、先輩に嫌われちゃったのかと思った」



そう言ってあたしを見て笑う。



「だって、メールだって来ないし、今日だってすぐ教室帰っちゃうし、目も合わないし」



そう言われてあたしはなんだか申し訳なくなった。

お礼のメール、送りたかったんだけど送れなかった理由があったんだ。



「あ、あのね」



あたしが口を開くと、隼人くんは「なに?」と言いながらあたしを見た。



「メールね…アドレス違ったみたいなんだ」



「え?」



あたしは携帯を隼人くんに見せた。



「あの日にお礼のメール送りたかったんだけど…」



隼人くんはあたしの携帯に登録されてるアドレスを見てあちゃーって感じで自分の右手を
顔に乗せた。



「ドット入れるの忘れた…」



そう言って項垂れた。

そんな意外とおちゃめな隼人くんを見てたらなんだか面白くなってしまった。