「おい、やめろよ」
低くて身震いしそうな声がした。
そう思ったら急に目の前に誰かが立った。
「あ?なんだよこのチビ」
そう言われた人を見ると…
「は…やとくん?」
目の前に立っていたのは隼人くんだった。
じゃあ今の声って、隼人くん?
いつもの可愛い感じとはかけ離れていてびっくりする。
そしてあたしの腕を掴んでいる男の人の腕を掴むとそのままグイッと曲げる。
「い、痛てててててっ!!!」
痛がる男の人。
「や、やめろよ!離せよ!」
もう一人の人がそう言って隼人くんから男の人を引きはがす。
そして隼人くんをギロッと睨んだ。
でも…
「…これ以上ちょっかいだしたらなぁ…どうなっても知らねぇぞ」
さっきの声でそう言う。
あたしからはその表情は見えないけど、聞いてるだけで鳥肌が立った。
「ヒイッ!!」
「ご、ごめんなさい!!」
2人の男の人はこの場から逃げ出した。
カナリの猛スピードで。
全くいったいなんだったんだろう。
それよりも…
「隼人くん?」
一向にこっちを向かない隼人くんの名前を呼ぶ。
するとあたしの方を向かないまま口を開いた。

