「全く、危機感ないのかねぇ~あの子は」



そう言いながら脱衣所でTシャツを脱ぐ兄貴。



「まぁ、だから守ってあげたくなるんだけどな」



俺は腰にタオルを巻きながらボソッとそう言った。

温泉はキレイだし広かった。気づけば1時間近く入っていた。



「今戻ればちょうど夕飯だな」



兄貴が浴衣の帯をキュッと縛る。

背が高い兄貴は何を着ても似合う。

少し胸元がはだけていて、大人の色気ムンムンだ。

それに比べて俺は少し浴衣が大きいみたいで、少し上げないと裾が床についてしまう。

くっそ~。兄貴ばっかり大きくなってずるい。

急にムカムカしてきて俺は荷物を持ってさっさと脱衣所を出ようとする。



「ちょっと隼人、何怒ってんだよ?」



そう言いながら兄貴も脱衣所を出るためにスリッパを履く。



「別に怒ってねーし」



そう言って男湯ののれんをくぐって外に出る。

すると、



「俺たちの部屋に美味しいものあるよ?行こうよ」



「いえ、もうすぐ夕飯なので大丈夫です」



知らない男の声と、真子先輩の声が聞こえた。

見ると、ソファに座ってビンのコーヒー牛乳を飲んでる先輩と、

その周りを2人の男が囲んでいた。