「ちょっと兄貴!真子先輩に触んないでよ!」



そう言って隼人が俺と真子ちゃんの間に入って来た。

頬を膨らまして怒っている。

でも残念ながら全く怖くない。

いや、可愛い顔がさらに可愛くなっただけだった。



「ほら隼人、水汲んで来い」



そう言ってバケツを隼人に渡した。

はーいと返事をして水を汲みに行った。

俺と真子ちゃんはお寺の入り口に売っている花を見に行った。



「わぁ!このコスモス可愛い!」



そう言って真子ちゃんはピンクのコスモスを手に取る。

それを見て俺は驚いた。



「…やっぱり、真子ちゃん一緒に来てくれて良かった」



そう言うと真子ちゃんは俺を見て首を傾げた。



「コスモスはさ、母さんが大好きだった花なんだ」



母さんが好きだった花。

コスモスの時期には毎日テーブルの上に飾ってあった。

だからお墓参りにはいつもコスモスを供える。

コスモスと真子ちゃんがもう1つと言って買ったヒマワリを持って両親の墓に向かう。



「俺、草取るね!」



隼人がそう言って草むしりを始めた。



「じゃあ俺は石の方洗うから、真子ちゃんもこっち手伝って!」



「はい!」



真子ちゃんがパーカーの袖をめくってスポンジを持つ。

そして一生懸命墓石を磨いてる。

そんな真子ちゃんを見つめていたら…