「よし、着いたぞ」



車を降りると都会より少し涼しい風が吹いている。



「ん~!風がきっもちぃ~」



真子ちゃんがそう言って伸びをしている。

お腹がチラリと見えたから俺は思わず視線を逸らした。

てか真子ちゃん、無防備すぎる。



「先輩!こっちこっち!」



「あ!待って隼人くん!!」



隼人と真子ちゃんは、お墓まで続く坂道を駆け上って行く。

やっぱり高校生は若いなぁと思う。



「賢一さん!早く!!」



坂道の途中で真子ちゃんが振り返って俺を呼ぶ。

隼人はすでに坂道を上りきっていた。



「ちょっと2人とも!俺もう歳なんだから!」



そう言いながらも走って坂道を上る。

俺はなかなか運動神経は良い方だ。

すぐに真子ちゃんに追いついた。



「はぁはぁ、け、賢一さん早くないですか!?」



俺が追いついたのにびっくりしてるみたいだ。



「いや、真子ちゃんが遅いんだよ」



見た目は運動神経よさそうなのに、どうやら違ったみたいだ。



「ほら、もうちょっとだよ!」



そう言って俺は真子ちゃんに自分の右手を差し出した。

そして左手で俺の手を握った真子ちゃんを引っ張って坂道が終わるまで走った。