「じゃあさ、山梨行かない?」
そう言ってニコッと笑う。
「山梨?」
そう呟いてハッとした。
桑原さんの話だと、昔隼人くんちが住んでいたところは山梨の田舎。
「そう、山梨!毎年兄貴とお墓参り行ってるんだけどさ、自然がいっぱいでいいところだよ!」
やっぱりと思った。
きっと毎年賢一さんと2人でお父さんとお母さんのお墓参りに行ってるんだ。
でも…
「ご両親のお墓参りに…あたしなんか行っていいの?」
あたしがそう言うと隼人くんは眉を歪めた。
「な…んで、両親のって…」
そう言われてあッと思った。
そうだ!桑原さんに聞いたこと隼人くんは知らないんだった。
あたしは隼人くんに頭を下げた。
「ごめん、桑原さんに教えてもらったの。勝手に聞いて本当にごめんなさい」
あたしなんかがあの話を聞いちゃって、きっと隼人くんは良く思わない。
隼人くんだって怒るに決まってる。
あたしはキュッと目をきつく閉じた。

