葬式にはじいちゃんの知り合いがいっぱい来た。
桑原さんも来てくれた。
葬式も無事に終わって、2人でじいちゃんの遺品を整理していた。
これからの俺たちのことは、桑原さんがなんとかしてくれるって言ってた。
あの人、見た目によらずになかなかいい人なんだ。
その時、引き出しの中から手紙が出てきた。
『賢一、隼人へ』と書かれたじいちゃんからの手紙。
俺たちは2人で読んだ。
『賢一、隼人へ
お前たちがこれを読んでいるということは、ワシはもうこの世にはいないんだな。
ばあさんがいなくなって一人きりだったワシのところに2人が家に来てから、にぎやかで楽しかった。
賢一、お前は賢い子だからな。でも頭でっかちはダメだ。モテないぞ。
隼人、今はやんちゃしててもいいけど、将来は誰かを守れるような人になれ。
ワシの遺産は賢一と隼人に均等に分ける。使ってくれ。何かあったら桑原君に相談するといい。
最後に、お前たちと暮らせて良かった。
2人には本当に感謝している。
良い人生だった。ありがとう。』
これを読んで2人とも涙が止まらなかった。
感謝するのは俺たちの方なのに。
「…俺、ちゃんとするよ」
そう言うと、兄貴は俺を見た。
「ちゃんと勉強して、高校も行って、じいちゃんに恩返ししたい」
すると兄貴は俺の頭を撫でた。
「…期待、してるぞ」
そう言って2人で笑った。
それから俺は不良たちと縁を切って、勉強に集中した。
そしてなんとか星城高校に合格して、まともな人生を送っている。

