『すぐに橘総合病院に来い』



兄貴の字でそう書いてあった。

俺は急いで病院まで駆けつけた。

受付で部屋番号を聞いて急いで向かった。

そして、じいちゃんの名前が書いてある部屋のドアを開ける。



「隼人か?」



振り向いた兄貴は目の下にクマを作っていた。

寝てないみたいだった。

それより…



「じ、じいちゃんは?」



ベッドにゆっくり近づく。

すると、呼吸器やら機械をいっぱいつけたじいちゃんが寝ていた。

3日前は元気でいたのに、その面影は全くない。



「…末期の大腸がんだったんだって」



兄貴がじいちゃんを見ながらそういう。



「俺たちに心配かけないように、一人で病院まで通ってたって」



兄貴は悔しそうに唇を噛みしめる。



「もう、いつ容態が急変してもおかしくないって」



そこまで言うと、じいちゃんが少し唸り声を上げた。

兄貴がじいちゃんの肩をさする。



「じいちゃん、起きた?隼人も来たよ」



そう言う。そして兄貴が俺の腕を引っ張る。



「…は、やと…」



じいちゃんは少し目を開けて俺を見る。

俺は何にも言えない。ただ突っ立ってるだけ。

すると、じいちゃんは手を伸ばしてそっと俺の手を握る。