「…っ」



兄貴の目からはポロポロと涙があふれてきた。

そうだよな。目の前で両親の殺された現場を見たんだもんな。

そう、両親とも救急車と警察が来たときにはすでに息を引き取っていた。

現場を見たが、かなり壮絶な現場だった。

それをこんな子供が見たら…

そう思ったら心がギュッと締め付けられる感じがした。

こいつらの為にも早く犯人捕まえないと。

俺は目の前にいた2人をギュッと抱きしめた。



「お前らは何にも心配しなくていいぞ。俺がなんとかしてやるから」



そう言うと2人は声を出して泣き始めた。



「なんかあったら俺を頼れ。俺はいつでもお前らの味方だから」



それから俺はこいつらが自立するまでちょくちょく面倒を見たりした。

母方の父親に2人は引き取られることになった。

2人にとってはじいさんだ。

このじいさんがまた良い人だった。

俺に2人の近状をちょくちょく手紙で教えてくれた。

少し元気になってきたとか、賢一が中学でバレー部に入ったとか、

隼人が絵のコンクールで金賞を取ったとか、いろんなことを教えてくれた。

たまに家に行ったりすると、酒に付き合えと言われて結局朝まで飲まされたりもした。

でもある日、隼人の様子がおかしいとじいさんから相談を受けた。