「あとで来ても隼人には合わせないよ?あんたもどうせ告りに来たんでしょ?あんたなんか隼人が相手にするわけないじゃん!しかも年上とかマジないでしょ」
そう言ってケラケラ笑う。
あ、あれ?なんだか話が…
思わぬ方向に話が進もうとしたとき、
「あれ?真子先輩?」
後ろからあたしを呼ぶ声が聞こえた。
この声は…
「隼人くん」
やっぱりいつ見ても可愛い。
隼人くんが牛乳をチューチュー吸いながら歩いてきた。
そしてあたしの肩の手がパッと離れた。
「隼人~♪ジュース買いに行くなら花梨も行きたかった~」
さっきとは打って変わって声を高くして隼人くんにくっつく。
周りにピンクのオーラが見える。
「栗原、やめろよ」
隼人くんが少し迷惑そうに栗原さんって子を自分から離す。
そしてあたしを見た。
「先輩、どーしたの?」
ストローをくわえながら首を傾げる。
でもふとこの前の告白されたことを思い出して顔が赤くなる。
しかも抱きしめられちゃったし。
「あ、こ、これ返しに来ただけだから」
そう言って紙袋を手渡した。
隼人くんが紙袋を開いて中身を見る。
「あぁ、そんな急がなくてよかったのに」
「ううん、ありがとね!じゃあそれだけだから!」
なるべく早くここを立ち去りたかった。
だってさっきより周りに人が増えてる。
な、なんでだ?
あたしはクルっと後ろを向いて歩き始めた。
でも、
「真子先輩!」
隼人くんがあたしの手を掴んだ。
周りから悲鳴のような声が聞こえた。
あぁそっか。さっきからの周りの視線は、隼人くんに向けられてるんだ。
あんなに可愛いから人気に決まってる。
隼人くんに掴まれてる右手首が熱い。
周りの視線が…痛い。

