1対1だからこれからPK戦。
俺たちは円陣を組んだ。
「あの南田高とPKだ。精一杯やろう!!」
PKの一番手は2年の田中、それに続いて奥山、後藤、俺、笹垣の順だ。
俺はキーパーの桜井のところに行く。
「と、戸川先輩」
桜井はガッチガチに固まっていた。
俺は桜井の額に渾身の一撃のデコピンをかましてやった。
「痛っ!!なにするんすかっ!!」
額を押さえながら俺を見てびっくりしている桜井。
俺はケラケラ笑った。
「いつもの桜井に戻ったな」
そう言うと桜井はハッとしたように目を見開いた。
「あ、そう言えばさっきより緊張してないッス!」
俺は桜井の肩に手を置いた。
「気楽に行けよ。お前なら大丈夫だから」
そう言うと桜井は俺を見て大きく頷いた。
さぁ、PK戦の始まりだ。

