自転車の後ろに乗るのなんて久々。

小学1年の時だかに啓太に無理やり乗せられた。

そして転んで2人で大泣きした覚えがある。

そんなことを思い出して顔がニヤける。



「ちょっと遠回りしよっか!」



隼人くんが自転車をこぎながらそう言う。



「うん!」



乗ってる時の風が気持ち良くて、あたしはそう返事をした。

それからすこし遠回りをしてもうすぐ家に着くってとき、



ピピピピー!!!



そんな笛の音が聞こえた思ったら、急に自転車の前に人影が出てきた。



「うわっ!」



「キャッ!」



キキキーというブレーキ音が聞こえて、自転車が止まった。

あたしは勢いで鼻を隼人くんの背中にぶつけてしまった。

結構痛い。



「コラー!!自転車の二人乗りは危険だぞ!!」



そう、目の前に現れたのは警察官の人だった。

ちょうど交通指導をしていたらしい。

50歳くらいの怖そうなおじさんだ。

ヤバイと思ったとき、隼人くんが口を開いた。



「桑原さん?」



隼人くんが警察官の人にそう言った。

するとその人は隼人くんを見て、目を見開いた。