「真子先輩?」



そう言って、靴箱を覗くとやっぱり先輩だった。

でも一緒にいるのは戸川先輩。

真子先輩は俺を見てびっくりしたみたいだ。



「隼人く…」



先輩が口を開きかけた時、目の前に影が出来た。



「あっれ~先輩の彼氏ですかぁ?カッコイイ彼氏でいいですねぇ~」



栗原が俺の前に立ったからだ。

俺よりコイツの方が背が高い。それがなんだかムカツクけど。

すると戸川先輩が、



「ごめん、俺たち急いでるから」



そう言って真子先輩の腕を引っ張った。



「ちょっと痛いって!ごめんね!じゃあまたね!」



真子先輩は俺に軽く手を振ってそのまま2人で学校を出て行った。

先輩にだって男友達がいるのはわかってる。

でも戸川先輩は親同士が仲が良いらしい。

この前真子先輩のお母さんに聞いた。

戸川先輩は真子先輩のことが好きだ。

でも先輩はきっと気づいてない。戸川先輩の気持ちに。



「あーあ。七海先輩行っちゃったね。デートかな?」



栗原がクスクスと笑う。

なんだかもやもやする。

嫉妬なんてみっともないだけなのに。

俺は無言で教室に歩き始めた。



「ちょ、ちょっと隼人待って!」



栗原がそう言っているけど、俺は結構イライラしていた。

だから後ろで栗原がニヤっと笑っているのに気付かなかった。