「ちょ、ちょっと痛いって!」



「早く行かないとマジで並ぶんだよ!」



焦ったようにそう言ってあたしの方を見ずにずんずん進んで行く。

そして靴箱に着いたとき。



「真子先輩?」



名前を呼ばれて振り向くと、そこには隼人くんがいた。

その隣には見たことがある女の子。

キツイ香水の匂いをプンプンさせてる。

そう、前に隼人くんのクラスに行った時に会った子。

たしか…栗原さんだっけかな。



「隼人く…」



隼人くんの名前を呼ぼうとしたとき、



「あっれ~先輩の彼氏ですかぁ?カッコイイ彼氏でいいですねぇ~」



隼人くんの前にズイッと出てきたのは栗原さん。

隼人くんより背が高い。だからあたしにとってはさらに見上げるくらい高い。

少し怖い視線を浴びていると、急にグイッと手を引かれた。



「ごめん、俺たち急いでるから」



啓太がそう言ってあたしを引っ張った。



「ちょっと痛いって!ごめんね!じゃあまたね!」



あたしは隼人くんにそう言って学校を後にした。