「あ、もう1つ入ってるんだけど、賢一さんに渡しておいてくれない?」
あたしがそう言うとさっきまでニコニコ笑っていた隼人くんが急にムッとした顔になった。
「先輩、兄貴にもあげるんだ」
隼人くんが頬を膨らましながら言う。
あ、怒らせちゃった。
「あ、違うの!賢一さんからなんだかあげなきゃいけないような雰囲気のメールが来
て…」
そう言うと隼人くんは小声でなんか言ってたけど聞き取れなかった。
ただ、盛大な舌打ちだけは聞こえた。
「…わかった。渡しとく」
隼人くんはむすっとしながらもそう言ってくれた。
「ありがとね」
そう言うと隼人くんはフッと笑った。
「じゃあまた学校でね」
「うん!学校で」
そう言って隼人くんは帰って行った。
家に入ると、お母さんはリビングでテレビを見ていて、お父さんは皿洗いをしていた。
「あ、真子。隼人くんっていい子ね~」
部屋に入ったそうそう、お母さんがそう言う。
「うん、とってもいい子なの」
あたしは笑いながらお母さんの隣に座る。
すると、皿洗いを終えたお父さんがビールを片手に目の前のソファに座った。
「お父さんは真子には啓太くんがいいと思ってたけど、隼人くんもなかなかだったな~」
なんて訳の分からないことを言い始めた。
あたしが首を傾げると、お母さんもお父さんもニコニコ笑っていた。

