「いっぱい食べてね」



「はい、いただきます」



目の前には和食料理が主にある。

一つ、茶色くてぶよぶよしたものがあるけど、それ以外はとても美味しそう。



「お母さん、料理苦手なの」



俺の耳元でコソッっと先輩が言う。

先輩の髪が俺の顔にかかって一瞬ドキッとした。

目の前の煮物を一口食べる。



「…おいしい」



本当に美味しかった。優しい味。

俺が作るのとはまた違った味。



「それは良かった」



俺がつぶやくと、先輩のお父さんはにっこり笑ってそう言った。

こうしてあっという間にテーブルの上にあった料理は空っぽになった。



「やっぱり若い子は良く食べるわねぇ~」



先輩のお母さんがお茶を入れながらそう言う。



「本当においしかったです」



俺はそう言って入れてくれたお茶を飲む。

すると…