「…うん。そう」



兄貴がそう言って俺の隣に腰かけた。

まだ濡れてる髪からポタリとしずくが落ちる。



「「……。」」



少し沈黙が流れた後、俺は口を開いた。



「俺、兄貴には絶対負けないから!」



そう言って兄貴を見ると、驚いた顔をしたけど、すぐに笑った。

笑った顔が似てるって先輩が言ってったっけ。

そう思っていると兄貴も口を開いた。



「うん、俺も負けない」



笑って言った。その少し大人の余裕そうな顔がうらやましい。



「まさか兄貴が恋のライバルになるなんてな!」



俺がそう言うと兄貴はハハッと笑った。



「正々堂々と勝負だな~」



そんなことを言って2人で笑った。