「なんか初めて会ったばかりなのに、いろいろありがとう」
なんだか申し訳ない気持ちになってきた。
すると、隼人くんななんだか楽しそうに笑った。
「いいよいいよ、それよりほら冷めないうちに、あーん」
おかゆが乗ったスプーンをあたしの口元に近づける。
予想外の行動にあたしは固まる。
「熱いかな?フーフー、はい!あーん」
隼人くんがあたしが食べないのは熱いからだと思ったらしくて、わざわざフーフーまでしてくれた。
いや、そういう意味じゃなかったんだけど…。
でもあまりにもニコニコしてるから、あたしは口を開けてぱくりと食べた。
「どう?おいしい?」
隼人くんが首を傾げて聞いてくる。
「ん!おいしい!!」
本当においしい!ちょっと出汁が効いてて優しい味。
「いっぱい食べて」
そう言ってまたあたしの口元におかゆを持ってきてくれた。
結局全部食べさせてもらった。
「おいしかったぁ!薬もありがとう!」
熱を測りながら隼人くんに言う。
「よかった~。僕、料理は結構自信あるんだ」
そう言ってニコッと笑った。
ピピピ
ちょうど体温計が鳴った。
「38度か。まだあるねぇ」
眉毛を下げて心配そうな顔をする。
「もう少し寝てて!少し下がったら家まで送ってくよ」
隼人くんが体温計をケースに戻しながら言う。
「そこまでしてもらって悪いよ!あたし帰るね!」
そう言って起き上がろうとしたら隼人くんに肩を掴まれ、そのままそっと寝かされた。
「僕が心配なの。おとなしく寝てて」
そう言う隼人くんの目力が迫力ありすぎて、あたしには寝ることしか選択肢はなくなった。
「わ、わかった」
そう言っておとなしくすると隼人くんは「よしよし」と言って笑った。
そしてあたしはまた夢の中に入って行った。

