そうこうしているうちに始まった新学期だが、予想通り独り暮らしは新鮮で自由だった。
いままでかけていた、朝のせわしない準備と苦痛の移動時間は爽やかで心地の良い睡眠時間にまるごと変わった。ヒマな空きコマの間に家に帰り、くつろぐ事が出来た。さらに自由だったのは夜だった。終電や寝場所の確保を気にすることなく飲みに行けたのは、心底楽しかった。休日には徹夜でゲームも出来た。自炊も楽しかったし、気が向かなければ近くのコンビニですますことも出来た。掃除、洗濯は元々綺麗好きな性格のおかげで聞いていたほど大変とは思わなかった。
手に入れた自由を謳歌してしばらくして、この部屋に不思議な出来事が起きることに気付いたのは、ほんのささいな事からだった。