「結婚…すんのか?」


やっと出た言葉は、これだった。

隼多の表情は一気に暗くなる。


「…分かんねぇって。彼氏もまだ10代だしさ、話がまとまってないんだと」


結婚も決まってないのに、赤ちゃんを生む。

その決断が、麻里らしかった。


たとえどうなるか分からなくても、

新しい命を守る。

これが麻里なんだよな。

優しい優しい、麻里なんだよな。


俺は隼多を見て、微笑みながら言った。


「麻里、幸せになると、いいな」


すると隼多も微笑んだ。


「ああ」


麻里、幸せになれよ。

心から、願ってるから。


俺は、麻里を諦めることを決めた。