いつも瀬名と帰っていた麻里も、当然一人。

俺は麻里に目を向けた。

麻里も俺を見ていたようで、すぐに目が合った。


「一緒に…帰る?」

「うん…」


別に一緒に帰る必要なんてない。

一人でだって帰れるのに、俺はなぜか麻里に声をかけた。


瀬名に置いてかれた麻里が可哀想だったから。

多分そうだ。


俺と麻里は玄関を出た。

すると、校門を出て右に曲がる、隼多と瀬名の姿が見えた。

手を握り合って、幸せそうに笑う二人。

その顔を見ると、仕方ないから隼多を許してやることにした。