自分の席に座り、次の授業の準備をしていると、急に前の席の男の子がこちらを振り返った。


「君、あの八島と仲良いんやな!一体どういう関係なんや!?」


いきなり話しかけてきたのは金髪に黒のメッシュ。それから笑った時の八重歯が特徴的な男子。しかもバリバリの関西弁。


「あ!すまん。自己紹介まだやった!俺は佐野 武虎(サノ タケトラ)!よろしゅーな!」


そう歯を見せて笑う。


私も紙に『よろしく』と書いて見せる。


「おう!んで、八島とはどういう関係なんや!?」


好奇心に満ち溢れた顔で再度聞き返す。


『友達』そう書いて見せる。


「なーんや!5組で抱きつかれとったって聞いたから、てっきり恋人同士かと思っとったわー」


残念そうに口をとがらせる。


ずいぶんと情報が早いなぁ…。やっぱりこの学校に転校してきたってだけで、ある程度の警戒はされてしまうんだろうな…。


「いや〜!でもほんま可愛いな!そんな子がクラスにいるだけで嬉しいわぁ…。」


そう言ってニヤニヤとしている彼に、『そんなことない』と書いて見せると。


「何言ってるんや!!あ、でも確かに可愛いとはまた違う!美人でも当てはまる…!ちょうど可愛いと美人の間って感じか?!!」


『そんなことないけど、ありがとう』


「そんなことあるのになぁ…。自覚がないって恐ろしいなぁ…!」


昼休みが終わるまで、彼のマシンガントークは続いた。私はその話に適当にうなずいたりして昼休みが終わるのを待った。