コンコン…


ドアをノックすると「どうぞ〜」と声がした。


ガラッ…


中に入って一礼する。


「あぁ!今日転校してきた子だね!!ごめんごめん…!本当は俺が表に出てないといけなかったんだけど…」


申し訳なさそうにそう話すのは、とても若い男の先生だった。


彼は眉を下げて「本当にごめんね…」と、とても申し訳なさそうに言った。


私はポケットからメモ帳とペンを取り出して『大丈夫です』と書いて先生に見せた。


先生は少し目を見開いて「…本当に話せないんだな」と小さく言った。


コクリ。


私がうなずくと先生は慌てた様子で「あっご、ごめん!!」とすぐさま謝った。


さっき書いた『大丈夫です』の文字をもう一度見せる。謝ってばかりの先生に少し笑みがこぼれる。


「ありがとう。彼方は優しいなぁ〜。あ!自己紹介がまだだったね!俺は相田 智也(アイダ トモヤ)。君が入るクラスの担任だ。よろしくな」


そう言って柔らかく笑う。とても印象がいい。きっと生徒にも人気があるのだろう。


先生から学校のだいたいの説明を聞き終わり、時計を見ると8:25。


「おお、もうこんな時間か!じゃあそろそろ教室に向かおう。基本、朝のショートホームルームは8:30からだ」


そう言う相田先生の後を私は静かについていった。