**宝石姫と狼王子**

小春が去った後、千鶴がようやく口を開いた。


「…すっげービビった。なんだあいつ。全然変わってねぇ。」


再開したのは1年ぶり。高1の春以来。


「相変わらず可愛いな。くっそ…」


「ぶりっ子が、たまにキズだが」呆れた様に千鶴はため息をつく。


「おっまたせー♡」


今度は私服の小春がやってきた。薄ピンク色のワンピース。お花の髪飾り。


「チーちゃん男装似合うねー!まぁ女の子のチーちゃんの方が私は好きだけど!カナちゃんは相変わらず綺麗ねー!カナちゃんの可愛さで小春死にそうっ!」


仲の良い小春は、私を「カナちゃん」、千鶴を「チーちゃん」と呼ぶ。


相変わらずの甘い口調。お馬鹿そうな仕草。嫌になったりなんかしない。この子の本性はぶりっ子なんて、つまらない物じゃない。


「本当2人とも相変わらず綺麗よねー。さっきからここのお店にいる全員があなた達のことチラチラ見てるよ〜!まぁ、私の可愛さも劣らないけど!」


ニッコリ笑顔でそう言う彼女。ほらね面白い。一緒にいて飽きない。滅多に見ない女の子。