**宝石姫と狼王子**

千鶴の声が耳に届くと同時に彼女の姿が鮮明に映る。


「え!チーちゃん!?それにカナちゃんまで!」


大きな目を見開いて驚く少女。


新垣 小春(ニイガキ コハル)。


150cmほどの小柄な体つき。天然パーマでフワリとした栗色の髪は、肩まで伸びている。
丸くて大きな、髪と同じ色の瞳。長くて上向きのまつ毛。


まさに女子の理想。可愛いの頂点。


そして、私の数少ない親友。


「偶然だねぇ!久しぶり!!二人とも元気してたぁ?てかてか、なんでチーちゃん男になってるわけぇ?」


初めっから小春はトークモード炸裂。


大人しくしていれば女子の理想。
本性晒せば、ぶりっ子。女子の敵。


でも、小春はかなり腹黒い。


「今日はバイト休むー!今から抜けてぇ、ここに戻ってくるからぁ!席。あけといてね♡」


パチンとウインクをして戻って言った小春を私達はただ無言で送り返した。