**宝石姫と狼王子**

「…で、入ってるって言ったら、強い奴は嫌いじゃねぇって…」


「気に入られちった」と千鶴は困ったようにクシャリと髪をかいた。


単純。

大体想像できた。銀狼は馬鹿の集まりか。


私が呆れていると、甘い香りが漂った。


「大変お待たせいたしましたぁ。こちらパンケーキとお飲物になります♡」


目の前に置かれたふんわりとしたパンケーキ。しゅわしゅわ音を立てる苺のサイダー。よく目にするウーロン茶。


でも、そんな物より気になることがあった。


店員の。「声」


聞いたことがある。


私達は顔を上げ、店員の顔を見た。


「…っこ、はる…?」