帰る準備を済ませ、昇降口で待っててくれた千鶴と合流した。


「凪咲に会うのも久しぶりだなー」


満面の笑みで楽しそうに千鶴は私の手を引いた。


中学の頃はよく手をつないで帰っていた。周りの子たちに小学生かと笑われた事もあった。でも、これはこれで落ち着く。


「少しだけどっか寄ってかね？最近いい感じのカフェがこの辺にできたらしいんだー」


千鶴は不良っぽい見た目に反してとても女の子らしい。自分じゃキャラに合わないと言って、周りには豪快な女の子で通している。


こっちの可愛い千鶴の方が、私は好きだな…。


そんな事を思っていると千鶴の言うカフェに着いた。


「めっちゃオシャレで可愛い感じなんだな」


私には似合わねぇな、そう呟くと千鶴は「違う店探そうぜー」とスマホで近くのお店を探し出した。


私は知ってる。ここのお店を見た時、千鶴の目が一瞬輝いたのを。表の看板に書いてあるオススメのパンケーキに目を奪われていたのを。


千鶴。私に隠し事なんて、できないよ？


ほんと、わかりやすいんだから…。


「え！彼方！？ちょっ…なんっ」


千鶴の手を強引に引っ張り、お店の中に入った。