**宝石姫と狼王子**

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「家ここから近いの?」


コクリ


「一人暮らし?」


フルフル


帰り道。ただひたすらこんな感じだ。


要や夕。武虎の質問に彼女はただ、コクリと頷いたり、フルフルと首を横に振ったりしている。


「誰と一緒に住んでるの?」





はい、いいえ以外の言葉で返さなくてはいけない質問には、先程から答えようとしない。


おかげで集まる情報は少ない。


「そういえばさっきは突然殴りかかったりしてごめんね?」


夕が腕試しの事を説明し、彼女に謝ると『気にしないで』と書いてきた。


「ありがとう!先輩やっさしぃ〜」


感激する夕をよそに要が質問する。


「家、もうすぐ着く?」


コクリ


要の質問に頷いて彼女はある一点を指差す。


「え…」


その先には大きな家。いや、お屋敷?


「すごい!お城みたい!!」


お城とまではいかないが、そこにあったのは綺麗な洋館。


「彼方ちゃんってお嬢様?」


フルフル


要の質問に首を振る。


どう見たってお嬢様じゃなきゃこんなとこ住まないだろ…。


「お姉ちゃんおかえり。この人たちは?」


不意に後ろから声がした。


振り返ると1人の少女が立っていた。