**宝石姫と狼王子**

「全然仲良くなれる感じがしないんよ…。深いところまでは行けへんねん。
あ、でも面白い情報が一個あんで!」


下げていた肩を上げ、嬉々としてそう言う武虎の言葉に全員が耳を傾ける。


「面白い情報?」


「そうや!実はその子。八島 千鶴の奴と仲が良いみたいなんや」


その言葉が予想外すぎて、しばらく誰も声を発しなかった。


不良の八島と知り合い。もしくはそれ以上の関係。


「…怪しすぎるね……」


夕が全員の言葉を代弁する。


「特徴を聞けば不良要素も感じられないのに、千鶴くんとお友達か…。


千鶴くんの彼女って可能性は?
No.2の総長なんだし、女の子の一人や二人作ってそうじゃん?」


確かに。総長がその族の姫として彼女を作ったりというのは珍しくない。


「そういう感じでもないんや…。聞けば紙に友達って書いてたし。


あ、日常会話は小さいメモ帳みたいなのでやってるみたいや。」


「ますます怪しいねぇ…。」


要が参ったと言う様に天を仰ぐ。


確かに謎すぎる。聞けば聞くほど疑問が生まれる。


もうここにいる全員がお手上げ状態だった。