**宝石姫と狼王子**

これは仕組まれてる。


声が出ないことに苛立ったフリをして、恐らくこのあと殴りかかって来るだろう。


新入生の腕試しってところだろうか。女子にまで容赦のないあたり、生粋の不良校だ。


「何それー?なーんか意味わかんなくない?」


響き渡る桜井君の甘い声。甘いはずなのにピリピリとトゲがある。


「声が出ない…ねぇ?」


久遠先輩はそう黒い笑みを浮かべる。


めんどくさい。帰りたい。


私が考えているのはそんな事ばかりだった。今ここで起こっている事はどうでもいい。恐怖なんて1ミリも感じない。だって…


私も元は不良だったから。