**宝石姫と狼王子**

そして最後は…。


恐らくこの人が総長だろう。


うつむいて影になっているため、顔はよく見えないけど。身長は180近い。猫背な様だからもしかしたら180あるかもしれない。


髪は銀狼の名前にふさわしい銀色で、やや細身だった。私の想像していた厳ついマッチョはどこかへ飛んでいった。


それにこの人…。


さっきから一言も喋ろうとしない。


「あー…。こいつは桐生 柊(キリュウ シュウ)。俺ら銀狼の総長!」


彼の代わりに佐野君が教えてくれる。


「んじゃ、全員自己紹介終わったし、これからよろしくな!彼方!」


そう言って佐野君がまとめる。


「よろしく。わからないことあったら俺らに聞けよ?」そう言って笑う相田先生。


「よろしくねー!いつでも頼って!!」ニコニコとそう言う桜井君。


「よろしく。暇な時はいつでもおいで?君なら相手してあげるよ?」そう妖艶に微笑む久遠先輩。


「……」相変わらず一言も喋ろうとしない桐生君。


そんなメンバーを見てペコリとお辞儀をする。よろしく。の意味。


もうすっかり張り詰めた空気は溶けて、窓に映る夕焼けの空の様に、優しく暖かな空気になった。


帰ろう…。


そう思って鞄を持った瞬間。彼らの目つきが変わった。