夏時計



深夏。

深い、夏。



まさにそれは、あの夏の事。






「…深夏…、綺麗な名前だね。」

「……え…?」




…やっと、君に伝えられる。


僕の、気持ちを。





涙に濡れた彼女の頬を指先で拭った。


「…ずっと、君を想ってた。」



君に魅せられ、君に恋をしたあの夏。

僕は、あの夏から置き去りにしたままの想いを口にした。










「好きだったんだ、ずっと。」

「……禅…。」


そう、僕は。

伝えきれずに消えてしまった夏を、ずっと悔やんでいた。



10年越しの夏。





やっぱり僕は、今でも君を想ってる。


何度、夏が巡ろうとも。





あの夏が、僕の全てだったから。