夏時計




『また、会えるに決まってるじゃない。』


『絵、完成したら見せるって言ったでしょ?』


『必ず、見せるから。』





「………嘘じゃんか。」

握り締めた缶コーヒーに力を込める。


だけど僕はまだ非力で
缶はその形を変えない。




ポタリ、と僕の手を濡らした雫。


「……幽霊、だなんて…ぜってぇ信じねーし。」



最後に触れた彼女の冷たい手も、笑顔も

あの、少し生意気な口調も


僕の中では現実で。





「……深羽…っ!」


彼女の瞳に映る景色を
見てみたかったのに。




―――夏目 禅。


中学3年の夏。






僕が恋をした彼女は



とても美しい


だけどとても儚い






小さな幽霊でした。