夏時計



そんなマーシーを横目に階段へと腰を降ろした僕は、先程出店で買ったタコ焼きの蓋を開ける。

出来たてのタコ焼きの上で鰹節が踊るのを見届けて、ブスリとつまようじを刺してそれを口に運んだ。



マヨネーズとタコ、そしてソースと青海苔の絶妙なハーモニーが口いっぱいに広がってゆく。

そしてそれをポカリで喉に押し込むと、やっと僕に追い付いたマーシーが隣に座り込んだ。




「花火って、男同士で見てもつまんねぇよなぁ。」

はぁ、と憂鬱混じりの溜め息を吐き出したマーシーが夜空を見上げて呟いた。


「まぁ、確かにな。」

僕も同じように頭上に広がる夜空を見上げる。



深羽も、どこかで花火を見るんだろうか。

それとも、あのホームで絵の続きを書いているのかな。



ぼんやりと満点の星空の中、彼女の笑顔を探す。