私の横を沢山の大人が通りすぎていく。


楓には、なんだかたくさんの管が
繋がっていた。


そして今また新たに加えられた。
酸素チューブ………だ、あれは……




「楓………!!」





私だよ、美桜だよ……………。


すかさず名前を呼ぶ。

だから、だから無視しないでよ………。



返事を……………。




「先生!!反応が!」




え………………。


楓の華奢な腕は、
看護士さんの手を掴んでいた。







「美…………桜…………」









その力もない掠れた声に、
また涙がとまらくなる。





「そうだよ………
私、美桜だよ!!…楓!!
ここに居るよ!!」






声が枯れてしまうほど
必死で叫ぶ。







「…………………ば……か」







楓は、少しだけ笑ったようだった。


「数値戻りました!!」


「よぉし頑張れ楓くん!もう少しだ!」







お医者さんたちがそう言った時、
病室の扉は閉められてしまった。