無我夢中に走り続けて、
ビルの真下まで来たとき。



「青葉……総合病院…………?」



不意に、ユキの言葉を思い出した。


──別人みたいやったよ、カエちゃん。



反射的に身震いをした。


まさか…………………まさか楓!

何かの事故に遭って………………!




弾かれたように受け付けに向かう。



「あのすみません!
ここに………柏木……柏木 楓が
居ませんか………………?!」


受け付けの女の人は
私の勢いに少し驚いた後、
笑って答えてくれた。




「楓ちゃんのお友達なのね……
楓ちゃんなら5階の
テラスの横の病室ですよ」


「ありがとーございました!!」





病院だと言うことも忘れ、
5階に続く階段を駆けのぼる。



一刻も早く……………


楓に会いたくて……。





5階に辿り着いた時、




「楓くん、聞こえる!?」

「楓くん!!」





楓の名前…………?

私はその大人たちの声がする方へ
走り出した。









辿り着いたその景色に




私は息をすることを忘れた。