少し驚いた表情の後、
俯いた楓を見て、ちょっぴり後悔した。
だって、どんな応えなら
私が満足するのか
わからないんだ……。
「理由は……さ」
少し言いづらそうに笑った楓は、
遠い空を見詰めた。
「俺がユキを好きすぎたから。
でも俺じゃ……幸せに出来ないから」
その目線は、
空よりずっと遠くを見据えている。
「……………………なんで
楓じゃ………出来ないの?」
楓は、また笑った。
「人を幸せにするのに
自分が幸せなのは絶対条件だろ?」
楓は…………ちがうの?
「堕ちるのは俺だけでいいんだ。
引きずり込みたくないし、
泣かせなくなかったんだ」


