嫌いになりそうなほど
ここからこの街を見下ろした。

その癖のお陰で美桜を
救うことが出来たんだけど………。

ここに居ると、
自分がちっぽけに感じる。



こんな広い世界では、
例え明日俺が居なくなっても
なんの不都合もなく
日常が繰り返されていくんだろう。




「…………楓?」



聞き覚えのある声に振り返る。




「お母さん……………脅かすなよ」



そう肩を撫で下ろすと、
母さんはいつものように
上品に微笑んだ。